「笹梅」の三代目が作り出す、厳選素材の創作和食。
まず、笹梅さんはいつ頃から営業しているお店なのでしょうか?/h3>
昭和29年11月から営業をはじめて、もう俺で三代目になりますね。大衆割烹っていうよりは、いわゆる創作和食をメインで出しています。ここに移転してきたのが2016年。それまでは35人くらいしか入れない店だったのですが、今は2倍の70人が入れるキャパになりました。
笹梅といえば「とりももの唐揚げ」と地元の方々から伺ったのですが、どんな特徴の唐揚げなのですか?
「とりももの唐揚げ」は先代の頃からの人気メニューなんですよ。俺も子供の頃から美味しいな、って思いながら食べていました。ほとんどの飲食店は外国産の鶏肉を使っていると思いますが、うちは北海道産の鶏にこだわっていて、しかも、ももを丸ごと揚げているからボリューミー。ひとりでガブッ!って食べる人もいますし、言ってもらえれば切りますから、シェアして食べてもらうこともできます。
笹梅で受け継がれてきた看板メニューというわけですね。美味しさの秘密は?
衣は付けずに素揚げにしているのですが、味付けは企業秘密。「食べてもらえればわかる」としか言いようがありません(笑)。強いて言えば、鶏肉を揚げるときの温度が大事ですね。要するに鶏の脂をどこまで残すかっていうことで、揚げ加減によってジューシーさや柔らかさが全然違うんです。あとは鮮度。鶏肉って、羽根や毛を抜く際に水を使って処理するから水気が多くなっちゃって、悪くなるのも早いんですよ。
厳選した素材の美味しさをしっかり引き出すことが重要だ、と。かなりメニュー数が多いようですが、他にはどんなメニューが人気ですか?
よく注文が入るのは、馬刺し、煮カツ、マグロぶつ……みんな肉ばっかり食べますね(笑)。このへんの人はみんなマグロが大好きなんですよ。本当は刺身の盛り合わせのほうがいろんな魚が食べられるし、ボリュームもあるから絶対にお得なんですけどね(笑)。もちろん、国産の鮮度の良い魚や馬肉を仕入れていますし、マグロは本マグロを使っています。あとは生牡蠣も人気かなぁ。
生牡蠣はどの産地の牡蠣を使っているのでしょう?
うちでは生牡蠣を一年中出しているんですよ。そのときどきで一番美味しい産地の牡蠣を出しています。3月なら岩手の牡蠣。身もデカくてぷりっとしていて美味いんです。冬は北海道厚岸の牡蠣も美味しいですよ。殻は小さいんだけど身が大きくて、味も濃厚。他にも時季によって兵庫や長崎からも仕入れています。
通年で生牡蠣が食べられるお店というのも貴重ですね。先ほど煮カツも人気だとおっしゃっていましたが、やはりカツにも何かこだわりがあるのですか?
カツは国産の「六穀豚」っていう肉を使用しています。穀物を食べて育った豚だから旨みとコクがあるし、脂の乗りもいいんですよね。六穀豚はとんかつやポークソテーとしても出しています。
どのメニューもしっかりと選び抜いた素材を使っているんですね。私は卵料理が好きなので、「出汁巻き玉子」も気になります。
出汁巻き玉子は、富士吉田市の小林鶏卵っていう有名どころの卵を使っていて、値段も張る分、餌の配合にもすごくこだわっていて味も濃くてピカイチ。この卵で作る出汁巻き玉子はふんわりして美味しいんです。
レアな日本酒やウイスキーもリーズナブルに楽しめる!
食事メニューだけでなく、お酒のメニューもかなり豊富ですね。
ビールやハイボールはもちろん人気ですが、やっぱり刺身を食べるときは日本酒を注文する人が多いかなぁ。最近は若い子でも日本酒を飲む人も増えてきました。うちは日本酒の種類も多くて、「黒龍大吟醸」や「獺祭23」、「農口」みたいな、普通じゃ仕入れられないような珍しい酒も扱っています。
アキさんとしてはどの酒がオススメですか?
俺も日本酒は好きなんですけど、「久保田」はここ数年ですごく美味くなりましたね。特に、久保田萬寿の無濾過生原酒っていう、春にしか入らない酒があるのですが、これは本当に美味しい。結構辛口で、日本酒が好きな人のための日本酒っていう感じですね。アルコール度数は19度と高めで、生原酒だからちょっと舌にピリッとくるんですけど、これが本当にめちゃくちゃ美味しい。あっ! うちもそろそろ仕入れないと(笑)
久保田萬寿の無濾過生原酒、笹梅の料理と一緒に味わってみたいです。ウイスキーも「白州」や「余市」「竹鶴」など、なかなか個人では入手しにくいお酒が揃っていますが、割とリーズナブルな価格設定ですね。
特に「竹鶴」や「余市」は今なかなか手に入らないから、もっと価格を上げても売れるかもしれませんが、そういうことはしたくないですね。昔から通ってくれているお客さんも多いし、国産ウイスキーの人気が高まっているからってハイボールの単価まで上げたら、みんなガッカリしますよね? やっぱり、珍しい酒や美味しい酒もできるだけ気軽に飲んでほしいですね。
ちなみに、客層はどういった様子ですか?
幅広いですよ。ひとりで飲みに来る人もいれば、友だち同士や家族連れも来てくれますし。あとは70人分の座敷席があるから、法事や会社の飲み会、少年野球の保護者会なんかでも利用してもらっていますね。
店内は広々としていますし、タブレットでメニューの写真も見られるので、観光客も安心して利用できそうですね。
コロナ禍前は地元客だけで満席になっちゃうことも多かったのですが、今なら比較的入りやすいので、ぜひ遊びにきてほしいですね。カウンターに座っていただければ俺もお話できますし、ずっと西裏で生まれ育ってきたので、このあたりのことならなんでも聞いてください。お待ちしてます!
真面目で熱い人柄が印象的だったアキさん。普段は地元の地域連合でリーダーも務め、“西裏のアニキ”として慕われているそうですが、それも納得。実際に、とても面倒見がよく、西裏の若手が営んでいる店にもしょっちゅう飲みに行っているのだとか。
西裏を訪れた際は、ぜひ笹梅に立ち寄ってみてください。カウンター席でアキさんに話を聞けば、西裏の歴史がひと通りインプットできるはずです。